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生産者日記

こころ野便り 草に思う その②

草達は、大量の種を付ける。
「あんたの畑は、草一本生えてへんな。」
これは、良く手入れの行き届いた畑と言う意味で百姓にとって褒め言葉である。
有機農業を志したとは言えこの言葉の呪縛から自由に成れたわけではない。
農業の経営は、個々ではあるが、水路や農道の普請や様々な交渉事や問題を解決するために周囲との和も非常に大事だ。
大量の種は、自分の土地だけでなく風に飛ばされ雨に流され周囲にも広がる。
「周囲に迷惑を掛けるな」と親によく言われた。
せっかく育てた野菜を廃棄する様な事になれば「冥加が悪い」と祖父は言っていた。
冥加が悪いとは、単にもったいないという事より神仏の加護を無にしてしまうと言う様な重い意味が込められていた。
勢いの有る時には跳ね返していた言葉が、疲れた心身にはずしりと重い。
でも前に進もう。
何とか草の種が熟してしまう前に刈りはらう事が出来た。
無数の種は、何とか自分の畑の中だけに収められた。
夏草は、生えてきても霜が降りれば枯れてしまう。
冬場の作付けには、さほど影響は出ないと踏んでいた。

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