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生産者日記

こころ野便り 農業について思う事 その⑩

マメに水が溜まらない様に糸を通したままの足の裏は、0、数ミリの糸の太さを1歩ごとに感じていた。
頭上の大きな青い道路案内標識には次の集落までの距離が示されている。
行く方向を見ると微かに次の案内標識が目視出来た。
見えてはいるが一向に近づいている気がしない。
でも1時間余りで標識の所までたどり着く。
さっきより5㎞近づいていた。
そんな事を幾度か繰り返す。
日本海には、利尻富士が浮かび並走(並歩)してくれている。
陸側には細長い沼と砂丘が並びその向こうは広大なサロベツ原野だ。
牧草地も有るから近くに農家が有るのかもしれないが砂丘で見えない。
車で走るなら、たぶん日本有数のドライブコースだろう。
草原と牧草地が入り乱れる中砂丘を縫うように緩やかなアップダウンと大きなカーブとそして長い直線の道路がどこまでも続く。
体中が痛い私には、もどかしい道に思えた。
昼を過ぎた頃から雨が降り始めた。
数回車が止まり「乗って行かないか」と声を掛けてくれたがその度お礼を言って低調にお断りしていた。
夕暮れが迫ったころ一軒の農家を見付けた。
一晩軒先を貸してもらえないかと頼んだが、断られてしまった。
雨の中テントを張ることも考えたが翌日も歩くことを考えると得策ではない。
天塩14kmの案内標識、約「3時間か」と呟き歩くことにした。
この3時間が長かった。
次に車が止まってくれたら乗せてもらおうと思っていた。
が、もう止まってくれる車は、無かった。
・・・走っている車が無かった。

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