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生産者日記

こころ野便り 農業について思う事 その⑪

日が暮れると辺りは真っ暗になる。
とぼとぼ歩いていると前方に等間隔の明かりが見えた。
橋だ!天塩大橋だ。
橋を見付けてこんなに嬉しくなるとは、あの下で眠れるかもしれない。
5km先まで目視できることは、日中に経験していた。
急いでいるつもりだが一向に近づかない。
雨は、止んでいたがふやけた足は、傷みが増している。
ようやく橋までたどり着くと町の明かりが見えた。
町まで行けば民宿が有るかもしれない。
民宿が見つかった。
ガラスの引き戸を開け声を掛けると女の人が出て来てくれた。
9時半を過ぎていたと思う。
大きな荷物を背負いずぶ濡れの合羽を着た男が突然現れたから驚いた顔をされていた。
しかし疲労困憊した顔を見て気の毒に思われたのか泊まれる部屋は無いが子供部屋を空けるから上がりなさいと言ってくださった。
でもそれは、気が引けたので近所の別の民宿を紹介してもらった。
紹介してもらった民宿にたどり着くと年配の女性が迎えてくれた。
遅い時間にも拘らずお風呂とご飯を用意してくださった。
ご飯の味は、覚えていない疲れを取るはずの熱いお湯は、体じゅうに痛くて浸みた。
部屋は2階だったが、階段に足が上がらず這って上がった。
最初の2日間で約100kmあるいた事になるが、体が、こんなにガタガタになるなんて思ってもいなかった。
農薬や化学肥料を使わない農業も想像以上に大変な事なのかもしれないと思った。
父の言うように無理なのかもしれない。
布団に入っても痛みと疲労感でぐっすりとは眠れなかった。
でも動き出した自分にときめきが止まらない。
そのうち治る。
身体が慣れるまでの辛抱だ。

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