お知らせ・ブログNEWS & BLOG

生産者日記

こころ野便り 農業について思う事 その15

青函連絡船は、線路である。
着いたのは青森駅午後8時半頃だったと思う。
この日は、青森駐屯地に泊めてもらう事になっていた。
翌日は、弘前駐屯地に泊めてもらった。
北海道とは、植生が違う。植生が違うと景色が違う。
リンゴ畑が広がり道路から手を伸ばせば届くところに赤いリンゴがぶら下がっている。

農家は、どれもとても立派で北海道には無い重厚な瓦屋根だった。
青森から秋田県に掛けての峠では、立派な杉の美林が有り100年単位で手入れがされている様に見えた。
県境の峠近くに湯治場の様な温泉宿が有りそこに泊った。
宿の御爺さんが、色々と話をしてくれるが、よく聞き取れない。

変わったのは、景色だけではなかった。
何度も聞き直ししてしまったが楽しそうに話を続けてくれた。
翌朝玄関でそのおじいさんが見送ってくれた。
私が、帽子をかぶっていないことに気付くとちょっと待っていろと言って建物の中に入って行った。
戻ってきたおじいさんの手には、小学生が被る様な黄色い帽子を持っている。

外に出る時には帽子が有った方が良いから被って行きなさいと手渡された。
あまり気が進まなかったけれど「有難う」と言って被って出発した。
おじいさんが見え無くなった所で自動販売機のジュースを飲み。
その自動販売機の上に脱ぎ忘れた様にその帽子を置いてきた。

 「おじいさん、ごめんなさい。」

田中真弥

田中真弥.jpg