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生産者日記

こころ野便り 農業について思う事 その17

仁賀保という所を歩いている時赤い車が止まって男の人が降りてきた。
「昨日も君が歩いているのを見た話を聞かせてほしい自宅が近いから昼を御馳走する。」と言うのだ。
車で先行し準備を整えて国道まで出迎えに来てくれた。
ご自宅にお邪魔すると奥様が、自分たちの昼ごはんに何品か足してくれたのだろう久しぶりに家庭料理を頂いた。

彼もまた仕事に戻らねばならないのか短時間だったが話は大いに盛り上がった。
この前まで自衛隊にいた事やこの旅に至る経緯、実家に帰ったら自然の摂理に従った農業を始めたいと思っている事など
彼は、空手の国体選手で毎年出場できるように日々稽古を頑張っている事などを話してくれた。

でも一番印象に残っているのは、別れ際の彼の言葉だった。
「それじゃ、縁が有ったらまた会おう。」と言ってお互いの連絡先など交換する事無く別れた。
お礼の手紙を書いてその後長年交流が続くという事も有るだろう。
でもたった一回きりのご縁でその時受けた恩をまた次に出会った人に返すのも格好いいじゃないかと思った。

この先に灯油を配達すると言うおばさんが、乗って行かないかと車を止めてくれた。
歩くことを課した旅であることを告げお礼を言った。
しばらく経って反対車線の車からさっきのおばさんが、手を振ってくれた。
走って近づいてくる足音に振り向くと綺麗な女性が、息を切らせて近づいてくる。

そして袋入りのスパゲティと聖書を手渡された。
「食べて下さい。」と調理器具を持っていなかった私は、約一月後自宅でそれを食べる事になる。
でも聖書は、読んでない。

田中真弥

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