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生産者日記

こころ野便り 農業について思う。その24

偶然かもしれないが、私の歩く速さと季節の進む速さが同じだった。 

宗谷岬を出発して以来紅葉の最盛期と初霜の便りが私と一緒に列島を南下していた。
50日の間、日本の一番美しい季節の中にいた。
いや偶然ではない。極一部ではあるが自然のリズムと同調出来たと感じている。
大いなるものからの「自然と共に在れ」というメセージだと勝手に受け止めた。

ゴールの大久保駐屯地では大勢の人に出迎えてもらった。
「祝・宗谷岬〜京都完歩」と書かれた横断幕をくぐるとファンファーレが鳴り響いたのには驚いた。
大変嬉しくも有り気恥ずかしい気持ちで整列した隊員の間を過ぎると
祖父や祖母・両親・兄弟従兄弟・地元の懐かしい面々や高校の恩師の顔も有る。

音楽が終わると挨拶を即された。
「みなさん、有難うございます。無事京都まで歩き切る事が出来ました。
これからは、地元で農薬や化学肥料を使わない農業を志したいと思います。」と宣言した。
それを聞いた父の心境を慮る事も無く気持ちは高揚していた。

後日この旅の事を快く思っていなかったはずの祖父が、「忍是安楽の道」と書いた
自筆の書を掛け軸にしてくれた。
その時は、完歩した事を讃えてくれた言葉だとおもっていたが実は、これからの
長い道程の始まりを意味していた事に後々気付く。
私は、澄み切った青空に映える真っ盛りの京都の紅葉に迎えられこの旅を終えた。

季節は、私を追い越し先へと進んでいった。

田中真弥

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