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生産者日記

こころ野便り 農業について思う。再出発編 その3

「阿呆な事を言うな。農薬使わんと野菜が出来るわけないやろ!」
と言う父の怒鳴り声のもう一つの意味が分かった。

無農薬で野菜が出来たとしても経営として成り立つのかという事だ。
手間とコストを掛けた野菜がただ美味しくて安全なだけでは、趣味の園芸で終わってしまう。
尚且つ商品として販売し利益が上がらなければ再生産出来ないし生活も成り立たない。

市場では、競りで値が決まる。
農家は、自分で自分の野菜に値段を付けたことが無かった。
そんな中、儲かる農業を営むには、目利きである仲買人の目に留まる野菜作りが必要となる。
所謂一流の仲買人は、所謂一流の客を持っている。
その流れに乗った野菜作りをすればそれなりの儲かる農業が営めた。

生半可に理想の農業像を描いてもそのルートに乗る事は出来ない。
父の言う通りそれが、現実だった。
それならば、先ず、そこで一番に成ってやる。
堆肥や有機肥料を使い土作りをした上で安定的に綺麗な野菜を育てる。
その為に化学肥料も農薬も使う。
土作りをしておく事は、いずれ役に立つそれまでチャンスを待つつもりでいた。

作物も九条葱一本の周年栽培に特化した。
いろいろ手掛けるより田中農園の葱なら間違いないと言われるようになる事が、得策だと考えた。
初心を忘れたわけではないが、何よりあれこれ考え手を尽しライバル農家と競り合うのが楽しかった。

田中真弥

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